47,XXY(クラインフェルター症候群)についてのよくある質問

米国の、X染色体・Y染色体に関わる体の状態を持つ人とその家族を支援する団体「KS&A」が発行する、「47,XXY(クラインフェルター症候群)についてのよくある質問」。

47,XXY(クラインフェルター症候群)についてのよくある質問


47,XXYとは何ですか?

 47,XXYは通常クラインフェルター症候群とも言われるもので、男性600人に1人の割合で発生すると推定される、染色体障害の中でも最も多いものです。ひとつのXとひとつのYの組み合わせの通常の46本の染色体ではなく、X染色体がもうひとつ加わり、47,XXYの遺伝子形態になります。この組み合わせは、相同染色体が第一減数分裂あるいは第二減数分裂の段階において分配がうまくいかなかった場合に発生します。正確な原因は不明です。過剰染色体はどちらかの親由来のもので、父親母親どちらの年齢ともほとんど関連はありません。(X、Yの染色体の)組み合わせの中の過剰染色体は、トリソミーと呼ばれますが、47,XXYは、他のトリソミーと比べ流産の割合は少なく、人によってたいへん様々な症状の原因となります。過剰な、もしくは欠失した性染色体は、性染色体異数と呼ばれる症候群を引き起こします。症候群とは、様々な症状や身体的兆候の集まりのことで、ある人には、47,XXYの発現は軽度でほとんど認知されないこともあれば、ある人には大変重い症状があらわれることもあります。


性別とアイデンティティについて

 KS&Aは、体の性別と心の性別、肌の色、民族、宗教、性指向、性自認、社会経済的地位や身体的特徴、精神疾患などを含め、家族の多様性を尊重しています。47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ人の大多数は男性のアイデンティティですが、ごく少数の人は「インターセックス」や別の性別のアイデンティティを持つこともあります(現在、クラインフェルター症候群を持つ男性で、非典型的な性自認を持つ人の特徴として、自閉症スペクトラム障害との関連性が指摘されています)。そういった人は、自分のことを「XXYを持っている」というよりも、「XXYである」と考える人もたくさんいらっしゃいますので、私たちもその人たちを尊重したいと思います。また同時に、「XXYである」というよりも「XXYを持っている」と考える人たちも尊重したいと思います。この「よくある質問」では、XXYによって引き起こされる状態像(クラインフェルター症候群)について述べていきます。


XXYの症状(クラインフェルター症候群)にはどのようなものがありますか?

 47,XXYを持つ人の大多数は、47,XXYに由来する症状がほとんどないか全くないということと、症状は人によって極めて幅広いということを強調しなくてはなりません。47,XXYを持つ人全員がクラインフェルター症候群を持つわけではありません。クラインフェルター症候群という用語は、別の状態に由来する症状を描写するのに区別しないで用いられることもありますが、実際は違うものです。

 47,XXYの最も基本的で一般的に見られる症状のひとつは性腺機能の低下です。47,XXYを持つ人の中では、性腺機能の低下は、小さく萎縮した精巣と不妊に近い状態、テストステロンレベルの低下として現れます。性腺機能の低下はまた、思春期の遅れや不完全な二次性徴、ひげや体毛の薄さ、女性様の体脂肪分布、乳房発達、長い手足と協調運動不全につながることもあります。少数がマイクロペニスになることもありますが、幼児期の「ミニ思春期」*1にテストステロン療法を行うことで一部通常の大きさに成長することもあります。性腺機能の低下は、未治療の場合、集中力の問題や、気分変動その他の感情・行動障害の原因ともなりえます。また、骨粗鬆症などの様々な合併症状にもつながりえます。これらは、テストステロン補充療法(HRT)で防ぐことができます。

 その他多くの症状が、47,XXYやそれに関連する状態にはあります。多くの人がこれらの内のいくつかの症状を呈しますが、人によって異なります。その他の症状には次のものが含まれます。


47,XXYはどのように診断されるのですか?

 この状態は過剰染色体に特徴がありますので、細胞を採取し、過剰染色体の数を数える準備と観察がなされなければなりません。染色体異常を調べるには、一般的にはカイロタイピング(カイロタイプ)と呼ばれる特定の血液検査が行われますが、FISH(蛍光ハイブリダイゼーション法)が行われることもあります。染色体や遺伝子学的状態が疑われたり除外される必用がある場合は、家族医や遺伝学医も含め、どの医師も遺伝検査をオーダーできます。

 35歳以上、あるいはその他遺伝学的状態の可能性がありうる妊娠中の女性では、アムニオ(羊水穿刺)や絨毛膜標本採取によって胎児の細胞を採取し、過剰染色体の検査が可能です。出生前では、47,XXYの約10%が特定されています。


47,XXYの保有率はどのくらいですか?

 47,XXYの保有率についてはいくつかの議論があります。調査では、500人に1人から800人に1人と言われていました。デンバーで行われた40,000人以上の新生児の大規模な遺伝学的スクリーニングでは、600人の男子新生児に約1人という割合が示されています。オランダでの縦断的集団調査でもこの割合が確認されています。47,XXYはダウン症候群よりも多いということになります。47,XXYを持つ男性の35%しか診断されていないと見積もられていますが、これは一部には身体的精神的症状が軽微か幅があること、更に一部には性染色体異数とその診断・治療についてのトレーニングが医学校でなされていないことにもよります。


47,XXYの核型変異にはどのようなものがありますか?

 47,XXYを持つ男性の約80%は47,XXYの遺伝子形態を持ちますが、約20%は、更にXやYが多い、48,XXXY、48,XXYY、49,XXXXYの遺伝子形態であるかもしれません。あるいは、XYとXXYの細胞が混在している、モザイクと呼ばれる状態もあります。46,XXの遺伝子形態を持つ人もいますが、この場合はY染色体の小さなかけらがX染色体のひとつにくっついている状態で、このY染色体のかけらによって、男性性器が形成され、ひげや男性筋肉発達などの二次性徴も可能になります。

 47,XYYは、47,XXYの異型だと関連付けられることがありますが、これは誤りで、このふたつは実際は全く異なる性染色体変異です。最も明らかな違いは、47,XYYの男性は、47,XXYの男性が持つ医学的問題や不妊を呈しませんが、XYYに関連する行動障害や学習障害がありえます。


XXY男性は全員不妊なのですか?

 全般的にはそうですが、重要な例外もあります。

  • XXY/XYモザイクの男性は不妊治療なしでも生物学的父親となるのに十分な活動能力のある精子を形成するかもしれません。
  • ここ10年間、生殖技術の進歩を活用することで、47,XXYを持つ多くの人々が生物学的父親になっています。この技術は高額なものでもあり、1回で20,000ドル以上かかります。通常は3つの技術が必要です。

   

  1. TESE(精巣精子採取法):精巣精子の抽出には、通常精巣から直接に精子が採取される方法が取られる。
  1. ICSI(卵細胞質内精子注入法):卵細胞質内への精子注入が、胎芽を作るためにシャーレーの中でひとつの精子卵子に注入される試験管内技術。
  1. IVF体外受精法):試験管内受精の後、受精卵を子宮に注入する技術。

 生殖技術治療を考慮する際には、時期が最も重要です。ホルモン補充療法は、精子産生の完全な抑制を避けるために極めて慎重に行われねばなりませんし、活動性のある精子の採取は、年齢とともに急速に難しくなっていきます。青年期の子どもの親は、思春期後すぐに、良質な不妊クリニックで妊娠可能性の問題を検討するようお勧めします。

 47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ男性のほとんどは、不妊であっても通常の満足行くセックスができることは強調しておきます。多くの人は、不妊の問題を抱える他の家族が通常とるような、養子や精子提供、その他の方法を使って、家族を作っています。


XXY(クラインフェルター症候群)を持つ子どもは、46染色体の子どもと比べて、どのような身体的特徴がありますか?

 47,XXYの赤ちゃんには、それほど明らかな身体的違いはありませんので、生まれてすぐに診断を受ける子どもはほとんどいません。しかし、47,XXYを持つ赤ちゃんは、筋肉の正常な緊張が少なかったり(筋緊張低下)、あるいは、(滅多にありませんが)小児科医が遺伝子の問題を疑うかもしれないほどペニスが小さい(マイクロペニス)ということもあります。斜頸として知られる状態(赤ちゃんの頭と首が少し一方に傾いている状態)を呈していることもあります。48、もしくは49染色体を持つ子どもの場合は、何らかの染色体や遺伝子の状態を示唆するような顔面の異常や形成不全外性器などの、より明らかな身体的特徴があるかもしれません。


女性が47,XXYということはあるのでしょうか?

 そういうことは全くありません。女性でも、性染色体異数を持つ可能性はありますが、47,XYYと同じように、47,XXYとは異なるものです。最も一般的な性染色体異数は、多染色体性XともトリプルX症候群とも呼ばれる、Xトリソミーです。Xトリソミーは通常「47,XXX」あるいは「XXX」という表記は成されません。Xトリソミーを持つ女性は、妊孕性が低い人もいますが、大多数の人は自分の子どもを持つことができます。トリソミーXと、そのバリエーションである48,XXXXや49,XXXXXは、47,XXYを持つ人と同じ、言葉の遅れや学習障害、社会的スキルの障害、そして情緒の問題の多くと関連しています。


XXYは子どもにどのような影響がありますか?

 47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ男の子は、言葉の遅れ、筋緊張低下があり、微細・粗大運動能力の問題につながります。内向的で、就学前教育や初めての食べ物など、新しい体験が苦手です。47,XXYを持つ子どもは他の同年齢の子どもと比べて未成熟に見えることもあり、言語能力が限定されているため、状況に合わせた振る舞いができにくい傾向があります。47,XXYを持つ子どもの多くは衝動のコントロールが苦手で、集中することが困難で、注意欠陥障害(ADD)、もしくは注意欠陥・多動性障害(ADHD)の診断を受けることもあります。また、これらの子どもは社会的スキルが苦手で、言語能力が乏しく、目を合わせることを避けるほどの内向性を持ち、遊びのパターンにこだわりや変化のなさ(たとえば、車やトラックのおもちゃを一直線に並べることに固執し、ひとつでも列を外されると混乱状態に陥るなど)が見られ、更に他の子どもや大人との相互関係が結びにくいため、まず、アスペルガー症候群や広汎性発達障害といった、自閉症スペクトラム障害の診断がなされます。47,XXY(クラインフェルター症候群)が自閉症スペクトラム障害ではありませんが、症状には顕著な重なりが見られます。47,XXYを持つ子どもは、学校では、IEP(教育検査に基づく個人学習指導要項 )や504プラン(メンタルヘルス系の対処項目)*2の保護による、特別支援が必要になるかもしれません。また、教育補助やいじめからの保護、「自主的なタイムアウト*3などの特別な対処などが有効でしょう。

 発達小児科医や遺伝学医であれば、最初に学習障害ADHD自閉症スペクトラム障害と診断された子どもに、47,XXYのわずかな身体的兆候を認め、遺伝子検査や完全な診断につながることも多いでしょう。これらの兆候には、精巣の小ささや平均よりも小さいペニス、尿道下裂(ペニスの竿に尿道がある状態)、停留精巣(精巣が陰嚢に下りていない状態)などがあります。他には、身長との対比での長い腕や、6,7歳の身長パーセンタイルでの顕著な身長の伸び率、座高の長さを上回る足の長さ(足から腰までの長さ)といった身体的特徴を呈しているかもしれません。47,XXYを持つ子どもの中には、斜指症(小指が少しだけ曲がった状態)や、漏斗胸(ろうとむね:胸の胸骨の陥没)、橈尺骨癒合症(とうしゃくこつゆごうしょう:肘関節を完全にまっすぐにできない状態)、長胴歯(ちょうどうし:タウロドンティズム:相対的に歯冠が大きく歯根が短くエナメル質が薄い状態)が見られることもあります。13歳以上の青年期であれば、第二次性徴の始まりがなかったり、進み具合が悪かったりする状態は、完全に小児科医が47,XXYを考え検査する指標となります。


XXY(クラインフェルター症候群)を持つ子どもの発達の遅れに対して、早期からの治療は効果がありますか?

 早期からの治療は、運動能力や言葉の発達の遅れ両方ともに大きな効果があるようです。出生前あるいは幼児期に診断された子どもは、運動能力の獲得に早期からの遅れが見られる場合は、数歳の頃には医療サービスを受け始めるかもしれません。診断されていない子どもの場合は、「この子が他の男の子に追いつくのはゆっくりなのだろう」と家族が間違って安心してしまっているかもしれません。発達検診などで、言葉や運動能力、社会的発達の遅れが認められた場合は、発達小児科医や子ども発達センターでのさらなる評価が必要です。XXY(クラインフェルター症候群)を持つ子どもの両親は、発達上どのあたりがゆっくりしか進んでいないのか検査と評価を受けることが強く推奨されます。このタイプで発達の遅れが見られる子どもは、療育的医療的介入なしでは、ほとんど「遅れを取り戻す」ことはないからです。


47,XXY(クラインフェルター症候群)の子どもにはどのような治療法がありますか?

 思春期や成人に達した男性には、テストステロン補充が必要となります。ひげや変声期、男性型の筋肉や脂肪分布といった男性の第二次性徴を促進するには、ホルモンの量が不十分だからです。別の性別にアイデンティファイする人は、テストステロン低下のリスクを軽減するよう、内分泌科医のガイダンスが必要となります。しかしながら、テストステロンで不妊を直すことはできません。テストステロンは、骨密度を通常のレベルにまで増加・維持させ、性欲と勃起機能を保ち、筋肉をつけるのに必要になります。テストステロンレベルが低い男性は疲れを感じやすく、不安症やうつ状態になることもあります。テストステロン療法は極めて個別的な観察を必要とする治療で、適切な投薬量が調整できるよう、患者の血液検査や問診ができる内分泌科医によって監督されねばなりません。思春期に達した子どもは、一般的には9歳から13歳の間、いつホルモン療法を始めるのか、骨の成長や血液検査の結果で決定できる小児内分泌科医の診察を受けるべきです。

 テストステロンは10日から3週間おきでの注射が可能です。腹部もしくは肩へのジェル塗布や、粘着パッチ貼付も可能です*4。経口用のテストステロン錠剤は肝機能障害を引き起こしうるため推奨できません。頬と歯茎の間に入れて口腔内で溶ける錠剤の臨床試験が現在行われています。数ヶ月にわたってゆっくりとテストステロンを送り出すインプラントパレットが合衆国で最近許可されました。また、脇の下に回転して塗布するタイプのテストステロン塗布剤も合衆国で導入されつつあります。

 乳幼児期の間に導入される治療は、特にペニスがとても小さい場合は、最初の3、4ヶ月では数回のテストステロン注射だけです。46,XYの乳児には、ミニ思春期と呼ばれるテストステロンの最初の増加がありますが、47,XXYを持つ赤ちゃんはこの時期テストステロンは分泌されません。この時期のテストステロン分泌の増加以降は、9歳から11歳ごろの思春期の始まりまでテストステロンは実質上分泌されません。

 47,XXY(クラインフェルター症候群)の症状は、子どもの間は、作業療法理学療法、言語療法、それにカウンセリングやソーシャルスキルレーニングなどで対処するのがよいでしょう。学習障害がある場合の対応としては、何らかの教育支援や教育メソッドなどを役立てれば、勉強の問題に対処していけるでしょう。大学や専門学校で、学位や資格取得に、学習障害を持つ人を支援するプログラムを実施しているところが増えてきています*5。IEPや504プラン*6が提供する支援や保護を活用するよう、親御さんにはお勧めします。


思春期から青年期の人の、精神の成熟と意思決定について、考慮に入れるべき特別な問題はありますか?

 47,XXY(クラインフェルター症候群)の人の中には、重要な意思決定について、脳の発達に関連する成熟の遅れが見られる人がいるということが、最近の調査で示されています。早期に診断されずテストステロン補充療法を受けなかった人には、この傾向がさらに顕著です。ランダムサンプリングの報告では、このような人は、客観的な診断や測定は難しいにしても、実年齢と精神年齢の間には、5歳ほどの遅れがあるだろうと示されています。一般的に10代の若者は、リスクを伴う行為についての意思決定能力はまだ乏しいものであることは常識的な事実で、47,XXYの人の中には、深刻な法的・社会的問題を防ぐために、(10代後半や20代までの)長期にわたる強力なガイダンスと注意深い子育てが役に立つ人もいるでしょう。47,XXYの人は背の高い人も多いため、このような未成熟が認知されるのに時間がかかり、必要とされる現実適応に失敗するということもあります。


47,XXYに関わる健康リスクはありますか?

 47,XXYに関連するものとしては、性腺機能低下症が代表的な併発症としてありえます。実際としてはそれほど高いわけではありませんが、XY男性よりも3〜5倍の高さで見られます。更に多い合併症としては、骨折が起こりやすくなる骨の密度減少である骨粗しょう症、リウマチ性関節炎や紅斑性狼痣、1型糖尿病などの自己免疫疾患があります。47,XXYを持つ人で、特にテストステロン補充を受けてこなかった人は、静脈性潰瘍の可能性が高くなります。甲状腺疾患も、通常よりよく見られます。発作に見舞われることも通常より多いようです。これはまだしっかりとした調査がなされたものではありませんが、うつ病双極性障害などの感情障害も、47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ人は一般よりもずっと多いようです。これらのリスクを減らす上でのテストステロン療法の効果が、現在究明されようとしています。

 KS&Aは、X・Y染色体のバリエーション全てに関係する併発状態についての包括的な概要を現在作成中です。


乳房発達とは何ですか?

 乳房発達とは乳房の組織の発達のことです。この状態は性腺機能低下症と関係しています。大部分の男性は思春期にいくらかの乳房発達があるのですが、10代半ばには解決します。ただ、47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ男性の中には、乳房の発達が目立つ人がいて、戸惑いや困惑の元になることがあります。その内おおよそ1/3の人が思春期以降も明らかな乳房発達が残り続けます。多くの人が大きくなった乳房を取り除き、通常の男性の胸の外見にするための手術を選択します。乳房発達は、乳がんのリスクを少し高めます。男性全体では1%以下ですが、3,7%ほどに高まります。47,XXYを持つ人は定期的に胸のしこりの検査を受けたほうがいいでしょう。マンモグラムは、胸の検査で見つかった異常を医師がチェックするためオーダーする以外は、医学的には必要とされません。


47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ人には何か特別な才能はありますか?

 現在のところ、47,XXYを持つ人に特別の才能や技能についての系統だった研究はされていません。カンファレンスやウェブでの事例情報では、数学やコンピューター、チェス、音楽に興味を持つ傾向があり、多くの人がそのような分野を専門に活躍していることが示唆されています。MRI画像からの調査でもこのことが支持されるかもしれません。(アメリカ)国立衛生研究所での、児童精神医学者のGiedd博士による、47,XXYを持つ子ども40人以上の数年にわたる大規模な研究によると、主に空間能力やコンピューターの技術などをコントロールする右脳の灰白質の量が、統制群と比べて多かったということが示されています。47,XXYを持つ人は、言語能力や社会的スキルをつかさどる左脳の量が平均よりも少し少なく、そういう能力に弱点があることが示されているのですが、そういう弱点を右脳の能力の強みで補っているのかもしれません。


息子とは、47,XXYのことを、いつ、どのように話し合えばいいですか?

 もしお子さんが出生前、もしくはまだ小さい時に診断されているなら、だいたい5、6歳の頃、短く簡単な説明から始めるのがいいでしょう。「体はたくさんの細胞というものからできていて、その細胞全部の中に、体がどんな風に成長するか書いてある「メッセージ」が入っているんだよ。そして一つ多いXは、XYだけよりもメッセージが1つ分たくさん書いてあるんだ」といった説明なら、学校の特別支援教室などを利用する説明になるかもしれません。もし、注意欠陥障害(ADD)に対してコンサータといったようなお薬が必要になる場合は、学校で注意力を良くするのになぜお薬が必要なのか、1つ多いXのことが説明の役に立つこともあるかもしれません。もう少し大きくなってきたら、内分泌科の病院に通うとき、テストステロン補充をする必要性について、更に詳しく説明ができる機会になるでしょう。47,XXYのことは、できれば秘密のままにしないほうがいいです。子どもは親が隠し事をしていることを敏感に感じ取るものだからです。性のことや生殖のことについて学べる時期になってきたら、妊孕能力が低いこと、必要と思うなら不妊治療ができること、これからの人生で精子提供や養子縁組をすることで家族を作ることもできるんだということを説明してあげてください。こういう体の状態はよくあることだということ、学習障害があるからと言って「何もできない人」ではないんだということを、お子さんに理解させてあげてください。


親戚や学校の先生、雇用者や恋人に体の状態のことを話すことについて

 おじいいさんやおばあさんといったご親戚に、診断のことを話す前に、そういう親戚の方が、学習障害やその他の健康問題、行動の特徴などに対して寛容にサポートしてくれそうな人かどうかを見極めてください。出生前診断で事前に判明している場合は、何らかの発達の遅れが明らかになってきたり、祖父母の方や兄弟姉妹に説明する必要が出てくるまで待った方がいいでしょう。

 診断のことを話すかどうかは、それが社会的な利点を得られるかどうか、支援を得られるかどうかが重要なポイントです。47,XXYを持つ人は明らかな身体障害はありませんが、アメリカでは、教育支援などを受ける資格はあります。たとえば学校のIEPや504プラン*7を用いた保護や支援を利用するのもいいでしょう。もしお子さんが、言葉や身体、学習、行動上の障害がある場合は、親戚の方に染色体の状態のことを話すのは有益な場合が多く、親戚の方も安心されるでしょう。親戚の方が、47,XXY(クラインフェルター症候群)についてのよくある誤解・神話を耳にされてしまうような状況では特に、できるだけ十分な量の正しい情報を伝えられるよう、事前に知っておくことが大切です。そういう神話・誤解の中には、47,XXYが知的障害(以前は精神遅滞と言われていました)の原因となるとか、犯罪行動を増やすとか、47,XXY(クラインフェルター症候群)の人は実は女性だといったものがあります。

 X染色体の数が3つ以上の人の中には、知的障害を持つ人がいますが、47,XXYを持つほとんどの人のIQ(知能指数)は、85〜120です。47,XXYを持つ人は全体として、同じような社会経済的地位の男性と比べて、犯罪件数は似たような割合であることも分かっています。また、47,XXYを持つ人で、違った性別のアイデンティティを持つ人を私たちは尊重しますが、Y染色体の存在が、ほとんど常に人間を男性に発達させるものなのです。(ほとんど常にというのは、47,XXYではないいくつかの症候群によって、Y染色体を持っていても男性ではなく女性として発達する人もいらっしゃるからです)。最初に述べた通り、47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ人の中には、ごく少数ですが自分のことを別の性別やインターセックスだという人もいらっしゃいます。

 雇用者に47,XXYのことを話すのは、仕事支援プログラムを雇用者に求めたり、ADA(米国障害者法)の元でのその他特別配偶を求める場合以外は、必要性は少ないです。そのような情報を開示することが健康・生命保険契約を難しくするかもしれないため、遺伝子情報はプライベートに保つべきでしょう。雇用者やその他の人が、(先に書いたような)あらぬ誤解・神話を本当のことだという正しくない「理解」をしてしまう恐れもあります。ですが、いくつかのケースでは、連邦命令の育児介護休業を取得したり、障害補償やADAによる特別配偶といった利点を求める場合には、開示が必要になるでしょう。

 学校への開示は、明らかな学習・行動障害があり、IEPや509項配偶*8といった、特別支援教育が必要な場合のみに、必要となるでしょう。学校の先生もこの状態を認識していることはほとんどないでしょう。ですので、たいていの場合は親御さんが、先生方に47,XXY(クラインフェルター症候群)を持つ男の子の特徴について教える必要があります。親御さんの中には、47,XXYのことよりも、広汎性発達障害といった、他の課題がお医者さんによって診断されている場合は、そちらの診断名のほうが特別支援教育を受けやすいという経験をされている方もいらっしゃいます。学校は、子どもがある程度学校生活を遅れるような状態であれば、自閉症のような行動・言語障害のことは理解していますし、学校の多くは、そういう課題に対する特別支援制度を用意しているからです。更に、アメリカの多くの州では自閉症スペクトラム障害を持つ子どもへの支援が行われていますが、学校側が、47,XXYを持つ子どもが同じような困難を持つことが多く、特別支援を受けるのが望ましいということを認識していません。

 こういった特別支援にアクセスする際は、ご両親は、こういう支援の対象となる生徒・学生のためになる「正しいボタンは全部押そう」という格言を思い出してください。ARC*9のような、特別支援へのつながりをサポートする地域生活支援団体にお願いするのもいいでしょう。

 47,XXYを持つ人も、もちろん誰かのことを好きになるでしょう。他の医学的状態もそうですが、この状態は、正しい時、然るべき時に話されるべきでしょう。最初の頃は必要ないと思います。けれども、交際が「真剣な」ものになった頃には、告白は、障害の説明と共になされるべきです。付き合っているお二人は、サポートグループなどで、関係を構築し家族を作って来た人たちと出会う機会があってもいいかもしれません。同じような状況にある人たちからの支援を得るいい機会にもなります。

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*1:訳者注:ミニ思春期とは、早期幼児期に起こるゴナドドロピンとテストステロンのホルモン急増のことです。このホルモンの急激な増加によって、原生殖細胞のAD精原細胞への発達・変化が起きていきますが、多くの停留精巣の場合、この変化が起こりません。

*2:訳者注:どちらも米国における知的障害や精神障害を持つ子どもへの特別支援教育を規定する法律

*3:訳者注:興奮や混乱に陥ったときなどに一時的に落ち着ける場所に退避すること

*4:訳者注:日本でのジェルやパッチの利用はこちらでは確認していません。

*5:訳者注:アメリカの例です

*6:訳者注:両方とも米国における、障害を持つ生徒・学生のための特別個人教育支援プラン

*7:訳者注:両方とも米国における、障害を持つ生徒・学生のための特別個人教育支援プラン

*8:訳者注:両方とも米国における、障害を持つ生徒・学生のための特別個人教育支援プラン

*9:訳者注:アメリカの、知的障害を持つ人のための地域生活支援団体「知的障害のある市民のための会」